投資していたThe Graphの競合にCovalentとSubQueryというプロジェクトがあるというのを知ったのでいろいろメモをまとめた。
◆結論
The Graphをホールドする
◆「そもそもThe Graphって何?」
ブロックチェーン界のGoogleになることを目指したプロジェクト。
Graphコミュニティで開発されたAPIを利用することで、あらゆるブロックチェーン上のインフラとしてデータ集約や解析を行うことができる。本来、データ集約や解析は開発コストやサーバー代がかかってしまうが、GraphのAPIを使えばその費用を抑えることができる。
参考:The Graph(GRT) 1200万投資 備忘録
◆「競合のCovalentとSubQueryはどんなプロジェクト?」
それぞれの特徴や強みをザっと書く。
☆Covalent
・1つのAPIで複数のブロックチェーンに対応
・ノーコードソリューションにより、開発者がコードを書く必要がない
☆SubQuery ※未上場
・The Graphのポルカドットチェーン特化版
参考:Covalent公式ページ
参考:SubQuery公式ページ
◆Covalentについての印象的なメッセージ
私はCovalent Alchemistプログラムに参加していますが、CovalentとThe Graphの主な違いを取り上げることにしました。私が見た限りでは、主な違いは以下の通りです。
引用:Covalent VS the Graph — which is better!?
CovalentはわかりやすいREST APIを持っています。CovalentにはわかりやすいREST APIがあり、RESTコールのパラメータを変更すると、異なる結果が得られます。結果を得るために何か特別なことをする必要はありません。RESTコールのURLを変更することで、ブラウザ上で結果を得ることができます。オタクではない人でもこれはできます。
グラフでは、サブグラフを書く必要があります。もし私が新しい開発者なら、サブグラフのAPIを学ぶと同時に、GraphのPostgres DBとのやりとりを学ぶ必要があります。仮に私がサブグラフを作ったとしましょう。そのサブグラフに投票するようにキュレーターを説得する必要があります。これは簡単な作業ではありません。そうして初めて、インデクサ・ノードに問い合わせてデータを得ることができるのです。
私の考えでは、主な違いは、Covalentはチェーン全体を照会することです。任意のウォレットも含めて。Graphではこれができません。ですから、Covalentは非常に優れた技術なのです。
Covalent社とThe Graph社の比較
引用:Covalent Investment Thesis
The Graphは、Web3のクエリとAPIレイヤーをdApps向けに分散化します。開発者は、Web3のデータソースからデータを取り込み、インデックスを作成する方法を記述したサブグラフを構築・配備し、エンドユーザーはこのデータを照会して洞察を得ることができます。
グラフはdAppsのみに対応
Covalentは、一連のプロトコルとユースケースにサービスを提供しています。
The Graphは4つのブロックチェーンに焦点を当てている
Covalentは現在、7種類のブロックチェーンをインデックスしている
Graphはサブグラフを設定する必要があり、開発に数日を要する
Covalentでは、コード不要のソリューションにより、市場投入までの時間を約5分としています。
The Graphでは、プロジェクトがデプロイするブロックチェーンごとに、個別のサブグラフを設定する必要があります。
Covalentでは、開発者がチェーンIDを変更するだけで、突然製品がマルチチェーンになります。
要約すると、このブログ記事を書いている時点では、CovalentはThe Graphよりも多くのブロックチェーンのユースケースに対応しています。
Covalent API自体については、シンプルなREST APIで、7つの異なるブロックチェーンにおけるトークンの残高やポジション、過去の取引活動を引き出すことができます。ブロックチェーンをまたいでも同じAPIであり、例えばEthereumからBinance Smart ChainやAvalancheに移行するには1文字変更するだけです。
(中略)
マルチチェーンで運用したい、あるいはマルチチェーン戦略を採用したいと考えているアプリがあれば、このようにCovalentを使うことができます。Covalentは開発者にとって最もシンプルなソリューションであり、余分なコードは必要なく、1つのAPIコールで済む。
引用:A Beginners Guide to Covalent
CovalentとTheGraphの主な違いは何だと思いますか?
引用動画:Ganesh Swami, CEO of Covalent Explains Covalent’s Technology – Ep. 27
The GraphとCovalentの最大の違いは、哲学的なものだと思います。The Graphでは、ユーザーに対して、サブグラフを書くことに時間をかけることを推奨しています。ブロックチェーンのデータを変換し、グラフQLのAPIで提供する。それが彼らの哲学です。
Covalentの哲学では、私たちはノーコードのソリューションを信じています。それが未来だと思っています。Covalentのユースケースでは、実際に何年もかけてブロックチェーン全体をコピーしました。すべてのブロック、すべてのトランザクション、すべてのログ、すべての残高の更新を、データベースにコピーしました。
(中略)
Covalentは1枚のExcelのスプレッドシートのようなものです。スプレッドシートで、最初のシートがすべてのデータで、シート2、シート3、シート4はピボットテーブルです。シート2、シート3、シート4はシート1のピボットテーブルで、これは簡単にできます。クリックやドラッグ&ドロップで操作できます。
The Graphでは、何百もの小さなスプレッドシートがありますが、相互に作用することもありません。
※Covalent創業者とコインゲッコー関係者の対談。該当メッセージは12:30~
競合他社よりも優れているCovalentの特徴を挙げていただけますか?
Covalentネットワークは技術的な違いではなく、コバレントが何をするかという哲学的な違いからくるものだと思います。
私たちの哲学は、すべてのデータにインデックスを付けたいということです。
この巨大なデータベースのすべてのデータに、すべての単一の残高、ポジション、粒度の高い過去の取引データを提供し、開発者にキュレーションとエンドの構築を任せるというものです。ユーザーエクスペリエンスが私たちの哲学である。
世の中には、ブロックチェーンに対して断片的なアプローチをとるプロジェクトがあります。
Covalentはすべてのプロトコル、すべての残高、すべての取引、すべてのウォレットである。それが哲学的な違いです
引用動画 :[CQT] – Live Video AMA with Ganesh Swami, CEO and Co-Founder of Covalent
※Covalent 創業者とCryptoCom関係者の対談。該当メッセージは32:48~
◆SubQueryについての印象的なメッセージ
ほとんどすべてのブロックチェーンには、データの処理や問い合わせの必要性があります。繁栄するPolkadotコミュニティは、確実にデータを見つけ、素早く消費できるサービスを必要としています。私たちのプロジェクトは、現在Ethereumに特化したサービスであるThe Graphに触発されています。
引用:Announcing SubQuery
SubQueryは設立当初からPolkadotとSubstateにフォーカスすることを約束しました。これにより、我々のサービスやツールは最初からSubstrateで動作するように作られています。それに加えて、Polkadotのユニークなアーキテクチャにより、SubQueryが現在および将来の複数のブロックチェーンを自動的にサポートすることが容易になりました。
引用:SubQuery Network — Our Goals and Competitive Advantages
(中略)
私たちは、マルチチェーンの未来を信じています。より多くのパラチェーンがPolkadotに参加し、サブストレートベースのチェーンが続々と登場すると、これらの豊富なデータをすべて照会するという課題が指数関数的に増加していきます。私たちは、このようなデータの価値を引き出す、シンプルでユニーク、かつ柔軟なオープンソースのプラットフォームが必要だと考えています。
今後はSolanaやTerraなど、他のレイヤー1ブロックチェーンとの統合を計画しています。
引用動画:SubQuery Fundraising Announcement
※SubQuery開発者の動画。該当メッセージは1:55~
◆「CovalentとSubQueryはどちらも強みがあるし、The Graphに勝ち目あるの?」
自分自身、CovalentとSubQueryについて知ったとき、Graphが勝てるのかどうか正直疑問に思っていた。
しかし、ネットワークが分散化しているというのがGraphの強みであることがわかったのでGRTをホールドしようという決心がついた
◆「分散性が高いと何が良いの?」
データを管理している場所が1つしかなかったら、そこがつぶされたら終わりだが、複数の場所で同じデータを管理していれば1つがつぶされても大丈夫。
ザックリ言うと、分散性が高いと、安全性が高く、プロジェクトの信頼につながる。このあたりについては、古参であるビットコインやイーサリアムがいまだに1位、2位であることにも関係がある。
ビットコインとイーサリアムより送金が早く手数料が安かったりするプロジェクトはいくつもあるが、それらは分散性の面で勝ててはいない。
☆POWのノード数
銘柄 | ノード数 | データ |
Bitcoin | 8,400 | https://blockchair.com/bitcoin/nodes |
Bitcoin Cash | 1,000 | https://blockchair.com/bitcoin-cash/nodes |
Litecoin | 1,300 | https://blockchair.com/litecoin/nodes |
☆POSのバリデータ数
銘柄 | バリデータ数 | データ |
Ethereum | 250,000 | https://beaconcha.in/charts/validators |
Cardano | 3,000 | https://pooltool.io/ |
Solana | 1,200 | https://solanabeach.io/validators |
☆Graph、Covalent、SubQueryの分散性の比較
銘柄 | 分散性 | データ |
Graph | 229 | https://graphscan.io/#indexers |
Covalent | 0 | https://cqtscan.com/#/ |
SubQuery | 0 | ? |
ただ、CovalentとSubQueryも分散化される予定はあるので、これからどれだけ分散化されるかが注目ポイント。
今日、私たちは、Web 3.0の分散型データインフラ層であるCovalent Networkの立ち上げを発表できることを嬉しく思います。
引用:The Covalent Network is Here!
(中略)
今回の発表では、プラットフォームを集中型のブロックチェーンデータAPIから移行させ、トークン保有者や開発者が新たな方法でネットワークを利用できるようにします。これにより、トークン保有者や開発者は、新たな方法でネットワークを利用できるようになります。すべては、集中化の限界を取り除くためです。Covalentは分散化への移行を進めていますが、既存のお客様やそのワークフローには一切の支障はありません。
SubQuery Networkは、SubQueryに単一障害点がないことを保証し、できるだけ多くの参加者を促すために、分散化されたトークン化されたネットワークへの移行を目指しています。
引用:Introducing SubQuery Network — The Next Big Step Towards our Decentralised Future
◆The Graphの分散性についての印象的なメッセージ
CovalentはThe Graphに対抗しようとしていますが、The Graphが分散型であるのに対し、Covalentは中央集権型のAPIです。
引用:グラフアカデミー製作者のdiscordからのメッセージ
(中略)
Covalentはすべてのデータを1つのインデックスに入れているので、遅いだけでなく、想像を絶する大きさになっています。 問題は、この方法ではデータに膨大な量の無用なデータが混ざってしまい、読み取り速度に影響が出てしまうことです。
彼ら(Covalent)は集中型の分析製品を作っています。The Graphは非中央集権的なプロトコルであり、デベロッパー、インデクサー、キュレーターの全員が協力してネットワークに新しい機能を追加することができます。
引用:TheGraph創設者のTelegramからのメッセージ
2017年末 私たちは、2017年末に最初のプロトタイプを作りました。ホワイトボードセッション、プロトタイピング、開発者との会話を繰り返しながら、数カ月かけてデザインを反復しました。私たちは、分散型ネットワーク上で安全に運用できる、インデックス作成ロジックを書くための生産的な開発者体験を見つけたかったのです。
引用:Introducing The Graph
◆まとめ
ビットコインとイーサリアムは、機能面で劣っていると評価されてきたが、分散性の面で先行者優位を維持しながら結果的に勝ってきた。
それと同じように、分散性の面で先行者優位を獲得しているGraphがCovalentとSubQueryに長期的に勝っていくと思っている。
Graphが1番と思っているが、古参ビットコイナーがアルトコインをバカにしたり、古参イーサリアンがイーサリアムキラーをバカにしている様子は非常に滑稽だと思っているので、
クエリ検索市場の中では古参であるGraphで同じような考えにならないように注意していきたい。機能面に関してはCovalentとSubQueryが優位な点もあるので、これら2つがどれだけ分散されていくのか、どのように需要を高めていくのかに注目していきたい。
どちらにせよ、Graph・Covalent・SubQueryのクエリ検索市場は、開発者向けのプロジェクトであるため、現状は過小評価されていると思われる。今後イーサリアムをはじめ、ソラナやポルカドットなど、各ブロックチェーンが拡大していくに比例して、インフラとして使われるクエリ検索市場が大きく評価されてくると予想している。
以上。