ふるさと納税の寄付限度額166万円以上の人が、一時所得の課税を考慮しながら限度額ギリギリまで納税できるやり方をまとめた。
◆結論
ふるさと納税の寄付限度額が166万円以上の人は、
・ポイント制の利用
・年内注文&年内受け取り
・年内注文&翌年受け取り
の3つを活用して限度額ギリギリまで納税すべし。
◆「166万円を超えると一時所得で課税されちゃうんじゃないの?」
一時所得が認識される日をコントロールできれば、課税されずに済む。
コントロールするやり方は自治体ごとのポイント制を利用すること。ふるなびカタログというサイトのふるなびコインがオススメ。
◆「ポイントを取得したときに一時所得として認識されないの?」
国税局電話相談センターに確認したところ、
国税局の窓口の人から「ポイントを取得したときではなく、ポイントを使って返礼品を手に入れたときが一時所得である」という回答をもらえた。
なので、2021年内にポイントをゲットして、翌年以降に返礼品を手に入れることで一時所得を166万円以内になるようにコントロールできる。
参考ページ
ポイント交換の場合、ポイントをもらったときではなく、ポイントを返礼品に交換したときに一時所得を認識することになります。
引用:やまばた税理士事務所
私のように平成27年の年末に駆け込みでふるさと納税したような場合、ふるさと納税による寄附金控除、税額控除はふるさと納税をした平成27年に行い、ポイント交換をした平成28年に一時所得を計上することになります。
ポイントの場合、ポイントを使って返礼品に交換した年が一時所得の対象となります。例えば、平成29年末にポイントをもらって、平成30年にポイントを使って交換すれば、平成30年の一時所得の計算に入れるということになります。
引用:税理士法人サポートリンク
◆「ふるさと納税の返礼品を一時所得として認識する日はいつになるのか?」
国税電話相談センターに以下の3点のどれなのかを確認した。
①注文日
②発送通知日
③返礼品の到着日
国税局の窓口の人から「通知があれば②発送通知日で、なければ③返礼品の到着日が一時所得として認識される。」という回答をもらえた。
参考ページ
発送通知日も該当するのは↓の36-13の内容が理由である。
(一時所得の総収入金額の収入すべき時期)
引用:第2款 所得金額の計算の通則 法第36条《収入金額》関係
36-13 一時所得の総収入金額の収入すべき時期は、その支払を受けた日によるものとする。ただし、その支払を受けるべき金額がその日前に支払者から通知されているものについては、当該通知を受けた日により、・・・(中略)・・・その支払を受けるべき事実が生じた日による。
発送の通知がなく返礼品が届いたのであればその届いた日、発送の通知がある場合にはその通知があった日に、一時所得を認識します。
引用:税理士法人 ガルベラパートナーズグループ
ふるさと納税の一時所得の認識時期については、寄附金の支出日ではなく、返礼品の発送日(発送日基準)と考えられているようです。
引用:あいわ税理士法人
ふるさと納税の特産品等を一時所得として認識する日は、原則としては特産品等を受け取った日になります。ただし、発送通知書が郵便または電子メールで送られた時にはそれを受け取った日になります。
引用:税理士法人レガート
166万円以上の寄付をする場合、下記のようなことができる。
☆498万円(166×3)をふるさと納税しても、課税されない例
(1)2021年12月10日に166万円分の返礼品を注文
※2021年分の寄付控除額が計上
(2)2021年12月20日に(1)の返礼品がすべて到着
※2021年分の一時所得が計上
(3)2021年12月25日に166万円分のポイントを購入
※2021年分の寄付控除額が計上
(4)2021年12月31日 に166万円分の返礼品を注文
※2021年分の寄付控除額が計上
(5)2022年1月10日に(4)の返礼品がすべて到着
※2022年分の一時所得が計上
(6)2023年1月1日に(3)で手に入れた166万円分のポイントを使って返礼品を注文
(7)2023年1月10日に(6)の返礼品がすべて到着
※2023年分の一時所得が計上
結果的に2021年に498万円(166×3)をふるさと納税したにも関わらず、(4),(5)によって返礼品の受け取りを翌年にし、(3),(6),(7)によってポイントを利用し、一時所得の認識日を変えることで課税されない
※2022年12月9日追記※
Q.個人Aは、昨年11月にB市に対していわゆるふるさと納税による寄附を行ったところ、本年2月にその謝礼としてB市から特産品(以下「返礼品」といいます。)を受け取りました。
引用:ふるさと納税の返礼品の収入計上時期
ふるさと納税の返礼品に係る経済的利益は一時所得になるとのことですが、個人AがB市から供与された返礼品に係る経済的利益は、ふるさと納税を行った昨年と、返礼品を受け取った本年のいずれの年分の一時所得になりますか。
A.個人Aが返礼品を受け取った年分の一時所得となります。
※※※
◆ポイント制の注意点
・ポイントは自治体ごとでしか利用できない
北海道なんちゃら市でのポイントで、沖縄県なんちゃら市の返礼品をもらうことはできない。なので、自分がほしい返礼品がある自治体のポイントを購入すること
・ポイントは有効期限がある
有効期限があるので、大量にポイントをゲットする人は注意すべき。上記で記載していた、ふるなびカタログのふるなびコインは無期限で使用できる
◆終わりに
今回の反省点としては、もっと早めにこのルールを知っていれば、年内に余裕をもって返礼品を注文するという行動をとれた。そして、年内に商品を到着したのを確認してから、ポイント制を利用しつつ、それとは別に追加でほしい返礼品を注文することができた。
①ポイント制の利用
②年内注文&年内受け取り
③年内注文&翌年受け取り
この3つを活用することで、166万円以上のふるさと納税をしても一時所得が課税されなくて済む。
③については、年内に発送通知をされず、返礼品を受け取らないために、年末ギリギリに注文すべし
ふるさと納税の寄付限度額が166万円を超える人は、今回の内容を理解した上で、「ポイント制の利用」「年内注文&年内受け取り」「年内注文&翌年受け取り」を活用するのがオススメである。
以上。
※2021年12月31日追記※
一時所得はすべて返礼品の30%で計算すればいいと思っていたが、念のため返礼品の定価を確認した方が安心のため、2022年以降にふるさと納税をする人は余裕を持った期日で自治体に確認しておくのがオススメ
※※※
※※※ふるさと納税でお得になる情報はここまで※※※
◆オマケ
寄付金控除はふるさと納税を注文したタイミングなのに、一時所得のタイミングは発送通知日か到着日になっているのが意味がわからなかったが、ふるさと納税の前提を理解することで納得することができた。
ふるさと納税は商品の購入ではなく、「自治体への寄付」と「自治体からの贈与」で分けて考えられているとのこと。
税務署から見れば、「買い物」のように行われるふるさと納税は、「寄付(ふるさと納税)」と「贈与(特産品をもらう)」の二つの行為が行われていることになるのです。
引用:幻冬舎 ふるさと納税の返礼品も!? 課税対象となる「一時所得」の例
ふるさと納税に係る寄附金控除の適用が、地方団体に対する寄附金額の全額(2,000 円を除く。)について行われるのは、当該寄附が経済的利益の無償の供与として行われており、返礼品等の提供がある場合でも、それが寄附の対価としてではなく別途の行為として行われているという事実関係であることが前提となっているものである
引用:総務省 ふるさと納税に係る指定制度の運用について
◆オマケのオマケ
今回のポイント利用や一時所得の認識日について知った経緯としては、Twitterでなんとなく「ふるさと納税 166万円」と検索したところ、ポイントを使うことで一時所得を翌年以降に持ち越せるという情報を得た。
ただ、この時点で
・ふるさと納税の一時所得が認識される日
・ふるさと納税のポイントを取得した時点で課税されないか
というのが明確にわかっていなかった。Twitterの情報は真偽が不明なので、できるだけ国税局の1次情報に当たるように心掛けた。だが、そもそもどんなキーワードで国税局のページを検索すればいいのかすらわからない状況だったので
「ふるさと納税 ポイント 翌年」
「ふるさと納税 ポイント 課税」
「ふるさと納税 一時所得 ポイント」
というキーワードでTwitter、Google、YouTubeで検索した。
検索によって
やまばた税理士事務所
と
税理士法人サポートリンク
でポイント交換による一時所得について解説しているページや
税理士法人 ガルベラパートナーズグループ
と
あいわ税理士法人
と
税理士法人レガート
でふるさと納税の一時所得の認識タイミングについての解説ページを見つけることができ、
国税局の長ったらしいわけのわからない
第2款 所得金額の計算の通則 法第36条《収入金額》関係 (一時所得の総収入金額の収入すべき時期)36-13
というページまでたどり着くことができた。
ここまでいけば、あとは上記で調べた情報が正しいかどうかを、国税局の36-13の文章を引用しながら、国税局電話相談センターに確認したことで、
「ポイントを取得したときではなく、ポイントを使って返礼品を手に入れたときが一時所得である」
「通知があれば発送通知日で、なければ返礼品の到着日が一時所得として認識される」
ということが明確にわかった。
(余談だが、国税局電話相談センターに一時所得の認識日を聞いたとき、国税局の窓口の人は到着日が一時所得として認識されますね、とすぐに回答してきた。しかし、36-13についてこちらが引用したところ、時間を置いて確認した後に、発送通知日か到着日、という回答になった。事前に調べて36-13について理解していてよかったと思う。国税局の窓口の人ですらカンペキに税金面について理解しているわけではないというのを実感させられた。
電話した直後は舐めた口調で対応されたが、こちらが36-13の文章を引用したことで、改まった態度をとってきた。この様子だと国税局の窓口は普段から調べない、文章も読めない層を相手にしているはず。納税者の税金リテラシーの低さを常に実感しているのが国税局の窓口だと思う。
国税局は無知な納税者をバカにしている可能性があるので、一人一人がリテラシーを上げていかないとどんどん気づかずに納税者が搾取されてしまう社会になってしまうかもしれない。電話相談での窓口の人の対応の変化を垣間見たおかげで危機感を感じることができた。)
思い返せば、ADAのステーキングのときも同じように粘り強く調べて情報を得ていったので、今回はその経験が生きたはず。もちろん税理士さんに聞くのもアリなのだが、まずは自分で調べることで税金の理解につながってくる。
今後も税金でわからないことが出てきたときは、常に調べていく姿勢を続けていきたいと思う。
終わり。